NiziUの「あのダンス」を紐解くと...

From 吉田 祥太
こんにちは! 吉田です。
今日は
「NiziUの「あのダンス」を紐解くと...」
というテーマでお届けします!
突然ですが、
あなたはNiziUというグループを
ご存知でしょうか?
9人組のガールズユニットで
結成わずか半年で紅白出場。
(メンバーの皆さんが
全員日本人なのもびっくりです。。)
中でも
「縄跳びダンス」は
TikTok、Instagram、YouTubeなどで
めちゃめちゃ拡散されて
有名になりましたね。
おそらく詳細は知らなくても、
曲は必ず聞いたことがあると思いますので
ぜひこの機会にチェックしていただければと思うのですが...
先日、
そのNiziUの特集回が
NHKの「SONGS」
という番組で放送されていました。
その中で、
実はあの「縄跳びダンス」の振り付けが
「なぜ誰もが思わず真似したくなるのか?」
「なぜ印象や記憶に残りやすいのか?」
「なぜ拡散されやすいのか?」
こういった視点から
めちゃめちゃ計算されているとのこと...
「さすが、老若男女問わず
ヒットしているダンス。。」
と興味深い内容でありつつ、
すぐにデザインに活かせる
重要なポイントが満載だったので、
今日はそちらをシェアしたいと思います。
お急ぎの方はこちらをどうぞ。(19:46あたりです)
https://www.youtube.com/watch?v=XWoRbaBtGbE
「縄跳びダンス」を紐解いてみる...
詳しいところは
動画を見ていただけばOKだと思うので、
要点を3つに絞って、解説しますね。
1. 一部分だけ動かすことで意識・記憶に残りやすくする。
2. スマホでの拡散を意識した作り→ユーザーの視線や視点を設計段階から意識しておく
3. その場面で見せたいものをはっきりさせる。(引きの絵では「連帯感」、寄りの絵では「個性」)
1. 一部分だけ動かすことで、意識・記憶に残りやすくする。
最も特徴的な振り付けである、
サビの「縄跳び」の部分。
動画の解説にもありますが、
ここで動いているのは
実は「足」のみ。
これがポイントで、
1点だけ動いていたり、周りと違和感を出すことで
その点が意識・記憶に残りやすくなります。
人間の認知バイアスの一つで、
「孤立効果」や「フォン・レストルフ効果」と
言われるものです。
脳の構造上、
人は動くものに気を取られやすく、
小さい動きや類似性よりも、
大きい動きや違和感の方が
注目を集めやすいです。
よく映画でも、
スリの人がぶつかってすれ違った際に
財布を持ち去るシーンがよくありますが
あれも、
財布を抜き取った際の動作よりも
ぶつかった衝撃の方が大きいということを
利用しています。
話を戻すと、
サビの縄跳びダンスで、
「足」だけが動くために
注意が足に釘付けになり...
そして、次のシーンでは
視線を「足」から「顔」に
持っていきます。
すると、意識に残るのは
「縄跳びのモーション」
↓
「足」
↓
「顔」
ということになり、初見で
意識の上で印象に残るのは
この3つになるんですね。
ほんと見事な視線誘導です。。。
これをデザインに転用すると
・見せたい、注目させたいものは動かしたり、違和感を与える
・どうしても記憶に残したい情報は1つに絞って、順に見せる
となります。
近年、
ランディングページのボタンが
上下にフワフワ動くデザインになっていたり、
キラキラ光るようなエフェクトが
かかっているものが流行っているのは、
このような理由からですね。
また、見せたい・伝えたい部分をいくつも詰め込んで
見た目をガチャガチャとさせないのもポイント。
ビジネスプレゼンでも
「1スライド1メッセージ」
という言葉があるように
あくまで
その部分で伝えたい情報を
1つに絞り、順を追って
伝えていくのが重要です。
2. ユーザーの視線や視点を、デザイン設計段階から意識しておく
ダンスの動きにも
重要なポイントがあります。
動画解説にもありますが、
スマホでのユーザー利用・拡散を見込んで
ダンスの作りが設計されているのです。
スマホでの撮影がしやすいように
「横」の動きを排除して
「縦」の動きのダンスが
主体のものになっているんですね。
これにより
「スマホを持っている人」であれば、
縄跳びダンスが撮影・投稿できてしまうわけです。
そして「縄跳び」は
日本人であれば
誰もが1度は覚えのある動作。
結果的に、
老若男女問わず
縄跳びダンスの撮影・拡散は進み、
爆発的なヒットに繋がりました。
ここも、デザインに活かせる重要なポイントです。
ユーザーがどんな状態で、
どんな視点で、どんな媒体を使って
なぜ今、それを見るのか。
デザインはアートではないので、
あくまで主目的は「表現」ではなく
「目的達成のための設計」です。
わかりやすいところで
「設計」でいえば、、
たとえば
建築士の方は
新築を建てる際、
その人の生活の様子をヒアリングして
・生活様式
・家事の導線
・採光
・部屋の配置
・収納
などを総合して、
家の間取りの設計をします。
デザインもこれと同じです。
ランディングページであれば、
・ユーザー環境(どんなデバイスで見るのか・なぜ見るのか?など)
・ボタンまでの導線設計
・業界のトンマナ
・レイアウト
・使いやすさ(ストレスのなさ)
こういったものになります。
(まだまだたくさんありますが。。。)
分野が変わっても、
設計という意味合いで
やっていることは変わりません。
プロとして何かを作る以上、
どんな分野でも
必ず「意図」や「ねらい」「目的」、
そしてそのための「設計」があります。
日本中でブームを巻き起こしたことからも、
縄跳びダンスは、設計という部分において、
学ぶべき点がたくさんあるといえるでしょう。
?3. その場面で見せたいものを「1つ」はっきりさせる。
(引きの画では「連帯感」、寄りの画では「個性」)
最後は、動画にはない部分です。
ちょっと視点を俯瞰させて見てみましょう。
これまでは縄跳びダンスの
「ダンス」や「動作」に注目してきましたが...
ここからは「画面」で捉えていきます。
まずサビ冒頭のミュージックビデオの一画面がこちら。
遠くから全体をみたアングル、
いわゆる「引きの画」では、
メンバー全員で踊っているところを見せて、
場面・状況を伝えながらも...
9人の激しいダンスにもかかわらず
「足」に注目が行くことで
一糸乱れぬ「一体感あるダンス」を
見せるような作りになっています。
対して、
近くで見たアングル
「寄りの画」ではどうかというと...
1でご説明した、
「足」から「顔」に
視線を持ってくる場面に合わせて
「一体感あるダンス」から、
「メンバーの個性」を
押し出す作りになっているんですね。
つまり、
大きな「画」という枠組みでの設計と
個々の「画」である、ダンスの設計が
しっかり噛み合っていること。
ここ、めちゃめちゃ重要です。
ひとつひとつの施策である
ダンスの視線誘導が
上手くいっていても
大きな「画」としての設計から
それたものになってしまえば、
それは全くの無意味になってしまいます。
逆もしかりです。
デザインにも同じことが言えます。
たとえば
1つ1つの要素、
キャチコピーやボタン、特典は
大きく目立って作れていたとしても...
その画全体で
何を伝えたいかが明確でない場合、
要素の優先順位が付けられず、
何を伝えたいのかわからない
デザインになることも。。
あまり語られない部分ですが、
大きな画という枠組みから考えて、
「ここでは何を見せないといけないのか」
「ボタンを押してもらうには、ここまでの流れで何を伝えないといけないのか」
「これを伝えられたらお客さんは次に何を知りたいだろうか?」
こんな視点で、
デザインの目的を大きく捉えた上で
細い枠組みに入っていくことは、
本当に重要です。
ぜひ、心がけてみてくださいね!
ちなみに引き画や寄り画といった
構図の解説や設計については、
映画の制作がとてもに参考になります^^
デザインの本来の意味は「設計」
さて、本日は
「NiziUの「あのダンス」を紐解くと...」
というテーマでお届けしました。
今回シェアした内容は
ほんの一部ですが、
あれだけ人気を博したことからも、
シンプルながら、かなりパワフルな
作りだったことが分かりますね。
さて、今回
「縄跳びダンス」をご説明する中で、
「設計」という言葉が
たくさん出てきたと思います。
デザインというと、
どうしてもデザインツールや
広告のビジュアル制作に
意識が行きがちになりますが
「デザイン」の本来の意味は「設計」。
本質的には、
今回お話したような、
目には映らない意図、ねらい、目的を
達成するための「設計」が重要なんです。
・そのデザインで、何を伝えたいのか?
・そのデザインで、ユーザーに最終的に何をしてほしいのか?
・そのデザインで、なぜユーザーがページを見てくれるのか?
・ユーザーは、どんな媒体でそのページを見るのか?
・なぜ、そのデザインが最適なのか?
このような設計の部分を考え、
実際に成果物に落とし込むことが
「デザイン」の本質になります。
よしだ
p.s.
よしだはGWは家にこもって、ひたすら勉強と読書と名作映画鑑賞したいと思います。
みなさんはどうされますか??
おすすめの映画・本があれば教えて下さいmm
ご質問お待ちしています!
投稿者プロフィール

-
フロントエンジニア出身の叩き上げセールスデザイナー
セールスデザイナーとしては5年目。
ノンデザイナー出身でめちゃめちゃ苦労した経験から、
感覚的になりやすいデザインの指導を
理論的かつ再現性ある形で伝えることをモットーにしている。
⇒ 詳しいプロフィールはこちら
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